文豪ゆかりの地を訪ねて ~秋山郷逆巻温泉 川津屋編~

作成: 日時: 2014年9月7日
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新潟県津南町と長野県栄村にまたがる秋山郷は日本有数の豪雪地で、温泉も多い。特に紅葉の時期には多くの観光客や宿泊客で賑わう。苗場山や鳥甲山の登山の入り口としても有名な場所だ。

ここはまた、平家落人の里ととしても知られている。

「宮本武蔵」や「私本太平記」などでも有名な吉川英治は「新・平家物語」を執筆するために、この秋山郷逆巻(さかまき)温泉の川津屋へ1ケ月の間逗留した。

川津屋は山の断崖に建つ

川津屋は山の断崖に建つ

吉川英治が宿泊した部屋は 立て直しはしたが、当時と同じ場所に建っているためこの窓からみた風景は昔のままだ。執筆の合間には宿の主人と将棋や囲碁を打ったそうだ。

川津屋2

当時のままを残す洞窟風呂へ行く。

この温泉は当時十二ノ木の庄屋だった先祖がイワナ釣りの帰りにこの温泉に入ったところ気に入り、当時の5億円という大金でこの温泉を買ったそうだ。

川津屋4

岩山をくりぬいて作った風呂は湯気を逃がさないため、サウナのように温まるという。吉川英治はここで長湯を楽しみながら作品の構想を練ったことから「めいそうの湯」とも呼ばれているそうだ。

川津屋5

執筆を終え宿を後にする時、吉川英治はさりげなく部屋の障子にサイン代わりに文章を残した。宿のご主人が気が付いたのは 旅立った後だという。ご主人はそれを額装にしてして今も館内に飾ってある。「吾以外 皆吾師也」 「平家読むや今をむか志乃(しの)むしの声」

障子に書いたので木枠の後が残っている

障子に書いたので木枠の後が残っている

現在は橋も道路も良くなったが、当時は崖を降りたり登ったりしないと宿にはたどりつけなかったそうだ。中津川が作り出した渓谷は当時のまま。秘境の面影を残す。

川津屋6

 

川津屋
新潟県中魚沼郡津南町秋山郷逆巻
TEL025-767-2001
http://www.tsunan.com/kawatsuya/kannai.html