デザインってなんだろう。雪国デザイン研究会「雪国のくらしをデザインでひらくvol.1」【イベントレポート】

作成: 日時: 2014年3月20日
お知らせ

みなさんは、デザインっていわれると何を思い浮かべますか?ポスターやパンフレットのデザイン?それともお店や家具のデザイン?最近はコミュニティデザインという言葉もよく聞きますね。

形のあるものに限らず、様々なシーンで使われるようになった<デザイン>という言葉。そんなデザインについて話し合うイベントが3月18日に開かれました。テーマはずばり「デザインってなんだろう」。デザインに関わるゲストが活発な意見交換を行いました。

まず冒頭に、今回のトークイベントのコーディネーターとして私(フジノケン)から、このイベントの趣旨と、企画運営主体である雪国デザイン研究会の活動についてカンタンにご紹介。

続いて紫牟田伸子さんの基調講演。紫牟田さんは美術出版社、日本デザインセンターを経て、2011年に独立され、編集家・プロジェクトエディター・デザインプロデューサーとして多岐にわたる活動をされています。

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その紫牟田さんから、「デザインという言葉は、いまどんな風に使われているか」というテーマでお話いただきました。

 

デザインはたかだか100年

伊千呂のイーロプロジェクトやRE-DESIGN:日常の21世紀展など具体的な事例をあげながら、デザインが単に形ではなく、人の動作や行動、関係までもデザインするものでもあることが示されました。

そしてデザインには、環境、プロダクト、コミュニケーションという3つの領域があり、さらに人のつながりをつくるコミュニティデザイン、社会の課題を解決するソーシャルデザイン、行動をつくるサービスデザインという新しい概念が加わってきていることなど、デザインという言葉の多様性をわかりやすく整理していただきました。

こんなに多様な意味で使われるデザイン。しかしデザインという言葉が使われるようになってからまだ100年しか経っていない(!)とのこと。意外に最近のことなんですね。

ざっとデザイン史を整理して概観した後で、今日的なデザインについて<コミュニケーションの最前線><つなぐツールづくり>というキーワードが提示されました。

デザインという言葉の原点から最前線までシンプルに整理してもらって、とてもスッキリするお話でした。参加者からも「デザインが広い意味をもつことがわかった」「デザインという言葉の身近さを感じた」など、デザインの意味や役割を捉え直す機会になったという感想が寄せられました。

 

つなぐツールづくり

基調講演の後はゲストを交えてのフリートーク。

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ヒッコリースリートラベラーズの迫さん、G.F.G.S の小柳さん、そして弊社田井中も加わり、それぞれの活動をもとにデザインとの関わり方について話し合いました。

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ふつうの饅頭に笑顔を描くことで、新たな関係性が生まれ、ブライダルギフトとして生まれ変わったという迫さんの話は、まさに<つなぐツールづくり>としてのデザインのわかりやすい事例でした。

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G.F.G.Sの小柳さんからは、購入者がボーダーの幅や色を好みで組み合わせられるORDER BORDER(オーダーボーダー)という試みをはじめてから、お客さんみんながデザイナーだと毎日感じていますという話がありました。これもデザインがお客さんとの間をつなぐツールになっている好例といえるでしょう。

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また田井中さんからは、和菓子とSIMカード(!)をつなぐ仕事が紹介され、仕事を生み出すプロセスそのものもデザインではないかという話がされました。

 

デザインと編集

様々な立場でデザインに関わる3名のゲストから、デザインの領域のひろがりを体現している事例紹介が続いたあと、紫牟田さんから<編集>というキーワードが提示されたところで意見交換が活気づき、迫さんが関わった<まんじゅう>や<おにぎり型ギフト>が生まれた背景や、小柳さんのあえて編集をしないことにこだわったインタビューマガジンについてなど、話が広がっていきます。

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参加者の感想からも、パネラーの方々の今に至るまでの経験談を聞いて勇気をもらったり、枠にとらわれない活動から刺激をもらった様子が伝わってきました。もっと話が聞きたかったという意見も散見。確かにそれぞれのゲストの話を聞く時間がもう少しあってもよかったな、と反省。

 

デザインってなんだろう

ゲストのお話はどれも示唆に富み、すべてお伝えできないのが残念ですが、とにかく領域的にも、質的にもひろがりのある話がもりだくさん。参加者にとってもデザインに対する見方がひらかれる機会になったのではないでしょうか。

紫牟田さんは、デザインを定義することが目的ではない、ひとり一人がそれぞれの立場でデザインについて考えるきっかけになって欲しいと話していましたが、そういう意味では参加者自らが「意外に自分が関わっていることはデザインといえるんじゃないか」とか、「自分がやっていることをデザインというフィルターを通してみると新たな発展性がみえるかも」といった気づきがあったと思います。

せっかくですから、参加者ひとり一人がイベントで得たものを持ち帰って日頃の暮らしや仕事に活かしてもらえればうれしいですね。もう少しデザインについて考えたいという方は、ぜひ雪国デザイン研究会に参加してみてください。誰でも参加自由のオープンな場ですので気軽にどうぞ!

 

▼雪国デザイン研究会に参加ご希望の方は下記までご連絡ください。 

雪国デザイン研究会事務局(株式会社滝沢印刷内 担当:滝沢)
TEL: 025-757-2191 MAIL: takisige@pastel.ocn.ne.jp