100年後も雪国であるために【未来にどんな雪国を残したい?】

作成: 日時: 2020年7月30日
知りたい 行きたい

DMOという言葉を耳にしたことはありますか。
観光を活用して地域を元気にするための組織のことです。その活動の目的は「観光地域づくり」です。観光地づくり、ではありません。たった一文字の違いですが、その意味は大きく異なります。雪国観光圏は、DMOなんていう言葉がなかった頃から、観光地域づくりを目指して活動してきました。一昨年には先駆的な取り組みが評価されて、ジャパンツーリズムアワード大賞も受賞しました。このように全国的に評価される雪国観光圏ですが、その実態は個がネットワークした活動が主です。しかもボランタリーで動く部分も少なくありません。
直接的なメリットもないのに。なぜでしょう?
その原動力は、地域をよくしたいという想いです。なかなか未来が見通せない今だからこそ、雪国という言葉に「希望」を感じる人たちが、ゆるやかにつながって活動している。それが雪国観光圏です。そんな活動の一端を知ってもらうために、雪国に関わる人たちの言葉を集めました。ひとり一人の言が、葉となり、いずれ大きな森になることを願って。

100年後も雪国であるために【私たちの目指すこと】 こちらへ
100年後も雪国であるために【雪国の恵みを活かすこと】 こちらへ
100年後も雪国であるために【未来にどんな雪国を残したい?】 この記事

雪国文化研究WG座長(津南町)
佐藤 雅一
真っ白な雪が森も山も村も、白く染めてしまい、その白い景観に時間が交差します。走馬灯のように交差する時間には、縄文時代から連なる人々の暮らしが織り込まれています。どの時代も、メラメラと燃える炎、滔々と流れる清い水、早春の屋根から伸びるツララがピカリと光り、そこにエメラルドグリーンのブナの若芽が写ります。そんなありふれた環境の中で、世界に誇れる「南越後・雪国文化」が営まれ、現在なおも、越冬をキーワードに発酵保存食が作られ、雪の結晶や縄文文様からデザインが生まれ、四季折々の生活様式が営々と続いています。この真っ白な文化を未来に残すことには、価値の共有と共創が大切です。この白いキャンバスに、さてどんな色を選び、未来予想図を描きましょうか?私は、雪の白、清水の淡い青、若芽の淡い緑、そして頭を垂れる稲穂の黄を選び、自然豊かなコシヒカリの里を描きたいものです。そこには世界遺産「日本料理」の神髄があり、未来の雪国観光圏は、世界遺産である「日本料理」と「日本酒」で溢れる自然豊かな山里であってほしいと願います。

 

㈱信州アウトドアプロジェクト/
里暮らしむすびや まるけて代表(栄村)
鑓水 愛
村の母ちゃん達が当たり前にやっている雪国の暮らしを残していきたいですね。長い冬があるからこそ、春が待ち遠しく、雪解けの芽吹きと共に山菜を採り、春から秋にかけて農作物を作り、雪が降る前に収穫を終え、漬物や乾物にして保存する。そして、冬は家の中でお茶を飲み、おしゃべりしながら手わるさ(手仕事)をする。これは、毎年のことですが、自然と共にある暮らしですから、同じ年なんてないので、それがまた面白いのです。そんな雪国の暮らしを残していけるように、母ちゃん達から1つ1つ教

 

株式会社コラボル(湯沢町)
南雲 純子
時代にあわせて変えていかなければならないものと変えてはいけないものがあります。その一つは、地域に根付いた食文化。我が家には120年前からの糠床があり、毎日頂く魚沼産コシヒカリと漬物、春の山菜、夏野菜、秋のキノコ類、長い冬を越すための保存食など季節を通して自然の恵みを頂いています。便利さと引き換えに人類がどこかに置いてきてしまったものが、雪国の日々の暮らしに残っており、これからも守っていきたいと思います。

 

雪国観光圏大地の芸術祭ワーキンググループ事務局
NPO法人越後妻有里山協働機構(十日町市)
淺井 忠博
大地の芸術祭を訪れた人は現代アートをめぐりながら、厳しくも豊かな自然の中で営まれる里山の暮らしを通して雪国の文化を体感しています。2021年夏には大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレが開催されます。芸術祭を通して地域の様々な方々と、これからも魅力的な地域で有り続けられるよう活動していきたいと思います。

 

しなの荘(津南町)
山岸 祐二
雪国観光圏の中で津南町に一番雪国らしさが残っていると言われることがありますが、それは手つかずの自然と昔ながらの暮らしが残っているからだと思います。この雪国らしさはずっと残って欲しいと思います。そのためには自分一人が頑張るのではなく、仲間や、観光客の皆さんの力も必要だと思います。最近、田舎ごちそうを地元の人に出したところ「珍しい」という言葉を聞きました。当地にも昔の食文化が失われつつある中、郷土料理を伝える宿泊業者の使命は大きいと感じました。

 

雪国観光圏ブランドWGメンバー みなかみ町観光協会/
地域おこし協力隊(みなかみ町)
宇津木 信之介
日本海からの湿った空気が山脈に当たり、山沿いに雪が降り、積もる。そんなわたしたちが住む豪雪地帯に今もある日常。ふかふかの雪の上を歩いたり、瑞々しい新緑の香りを感じたり。雪によってもたらされる豊かな自然、雪と共生し地域に根付いてきた生活や文化が、これから生まれてくる子どもたちへの知恵となるように、地域の資源を発掘し、繋ぎあわせ磨き上げて、その価値を伝え残していきたいと考えています。

 

和風いん越路(南魚沼市)
小林 幹雄
この地域に暮らす人が『雪』を喜んで暮らしていける地域。雪国と言われるこの地域において、現代では「克雪」と表現されるほど、雪による生活の不便さは解消されました。同時に、『雪』と生活との距離はずいぶんと離れたように感じます。この先の雪国では、克雪によって得た利便性を活かし、『雪』によって得られる恩恵を生活の中に上手く融合させ、雪との暮らしを楽しんでいる地域であってほしいと思っています。また、『雪』への興味と関心を持って生活することは、環境にも配慮することになると考えています。

 

女性コーディネーター研究会座長/
雪国観光圏事務局/越後湯沢温泉観光協会(湯沢町)
細矢 智子
女性は細かい気づきや、女性ならではの知恵を持っています。共感し、知り得た情報を人に教えるのも大好きです。そんな女性同士の連携の場を作りたいと考え、2016年に立ち上げました。2019年5月からは、雪国情報を7エリアの女性の力で伝えようと「7snowqueen」という名前でInstagram・Facebookを発信しています。この活動を通じて雪国の“女性ならではの知恵”を未来へ残せるよう伝えていきたいです。この活動だけでなく女性のネットワークが繋がっていき、いろんな女性の活躍の場が広がることを願っています。

 

雪国観光圏ブランドメンバー 魚沼市観光協会(魚沼市)
小幡 大介
雪国の自然・食・文化。どれを上げても特別な物だらけですが、長年住んでいると、その存在に気付けない・忘れてしまう事が多いものです。斯く言う私も、その一人でした。その場に行かなければ分からない事を感じたり地域の方々から昔話を聞いたり、そんなことを繰り返す内に自分の住む場所の魅力を再認識できました。「自らが知る」という事が大切だと思っています。そこで得た知識や経験に磨きをかけ、より付加価値の高い雪国の魅力を後世に伝えていきたいです。

 

HOME away from HOME Niigata (十日町市)
井比 晃
新しい暮らし方に移り変わりつつある、いまの世の中。季節ごとに強くしなやかに様式を変える雪国のライフスタイルは世の中を変えられる可能性があります。自然と人々との絶妙な距離感から生み出される心地良い感覚はきっとこれから最も大切な価値。心地良い暮らしが子供や孫以降にも続き、ちょっとずつ変わりながらでも住み継がれる集落と風景を少しでも多く残していきたいですね。

 

Discover Deep Japan(湯沢町)
尹 世羅
雪国が雪国であること。世界に豪雪地帯は多くありますが、この地域に昔から伝わる雪国の知恵、自然と共に生きる文化、雪を中心とした独特な四季はこの地域にしかありません。そして、雪国が雪国であるためには雪と雪国文化を守らなければなりません。「当たり前」のことですが、このまま地球温暖化が進めば、雪が「当たり前」でなくなってしまうかもしれません。住む人も訪れる人も雪国文化に触れ、感性を磨ける雪国を未来に残すために、私達ができることをしていきたいですね。

 

ローカルチャレンジサポートFLAP(みなかみ町)
鈴木 雄一
雪国に移り住み5年。縄文より受け継がれてきた濃い文化と暮らしの中に新しく自分の色を描ける真っ白なキャンバスがあると感じています。季節の移り変わり、1日の変化、土地に寄り添う愉快な人々との出会い。つながりをつぶさに感じられるグラデーションが美しい地域で、誰もが伝統を受け継いで新しい文化を紡いでいける「真白き世界」の関わりシロが、未来に続きますように。

 

この豊かな雪国を世界へ、そして、次の世代へ伝えたい。そんな仲間を募っています。地域にお住まいの方でも、そうでない方
でも歓迎です。まずはお気軽に事務局へお問い合せください。

一般社団法人雪国観光圏 事務局
新潟県南魚沼郡湯沢町大字湯沢2431−1
TEL:025−785−5222 MAIL:info@snow-country.jp